ウルダハ、それはアルデナード大陸の南部に位置する「ナナモ・ウル・ナモ」が治める王政国家。
しかし、その現状は混沌そのものである。
なんて、FF14をプレイしていると
「うわぁ、グリダニアやリムサ・ロミンサと比べるとドロッドロやな…」と思われる方も多いでしょう。
ウルダハの問題点は権謀術数渦巻く王宮、難民問題、砂蠍衆の台頭など、枚挙にいとまがありせん。
さて、そんな中、王女のナナモ様の考えを1つご紹介しておきましょう。それは
「王政から共和政に切り替える」ことです。
これは現実世界で多くの国で王政の国がなくなった(立憲君主制は除く)歴史をみていくと、かなり困難な道であることがわかります。
また、「そもそも共和政ってなに?」と思われる方もいらっしゃると思います。
今日はそんな政治と歴史のお話。
王政から共和政への歴史
現在の世界で国王が直接政治を行う政治体制の国はありません。
イギリスは立憲君主制と言って、議会と憲法による政治を行っています。
日本も同様で、日本の天皇は「象徴」であるということは皆さんもよくご存知のはずです。
では共和政とはなんでしょう?
共和政は、君主(国王)を持たない政治体制のことで、
政治の最高決定権(主権)を国民が持っている政治体制のことです。
ざっくり言えば選挙で国民が選んだ代表者が議会で政治を行う仕組みですね。
つまり、「国王がおらず、選挙による政治家が議会で政治を行う」ことが共和政となります。
ではウルダハのように王政から共和政へ変わっていった現実の国とウルダハを比較してみていきましょう。
フランスの共和政の成立
フランスは1789年から始まった「フランス革命」でブルボン王朝を国民が打倒し、共和政が樹立していきました。
フランスの共和政への道のりはまさに「国民の血」で出来ています。
ではフランス革命の背景はどのようなものだったのでしょう?
それは「圧政による貧困」が原因です。
当時のフランスは、小麦が大凶作で国民は飢えていました。さらに、1775年から始まったアメリカ独立戦争などに参加していたために財政難。
そこで当時の国王ルイ16世はさらなる課税を行うために聖職者・貴族・平民からなる「三部会」を招集し、課税を実行しようとします。
しかし、とうとうそこで一部の貴族や平民たちの堪忍袋の緒が切れます。
貴族と平民が団結し、ブルボン朝の打倒を目指していったのが「フランス革命」です。
このフランス革命を題材にしたのが
「アサシンクリード Unity(ユニティ)」で、史実どおりの流れになっています。
当時のフランス国民の生活もわかるよく出来ているゲームです。
産業革命によって普通選挙を求める運動
その後のフランスでは産業革命ともに「普通選挙」を求める運動が起きていきます。
「普通選挙」とは一定の年齢を満たせば誰しも選挙に行ける選挙のこと。多くの国で選挙が始まった時、一定の税金をおさめた金持ちしか選挙に行けなかった「制限選挙」が当たり前であった。
産業革命とは、18世紀のイギリスで始まった蒸気機関を用いた「大量生産大量消費」になる社会の変化のことです。
この変化で多くの人々の生活が豊かになるとともに、金持ちしか選挙に行けないのはおかしいという運動が起こっていきます。
なぜこのような運動が起きていくかというと
人々が豊かになることで政治に対して意見を言える余裕と不満が出てきたからです
また社会の発展とともに国民の知識レベルが上がった背景があります。
「衣食住足りて礼節を知る」という言葉がある通り、国民の生活水準が上がらないと選挙を求めるレベルにならないのですよね。
これは日本でも同様です。大正時代の「大正デモクラシー」によって、1925年普通選挙が日本で成立していきます。
大正時代は第一次世界大戦による輸出過多で非常に好景気で、国民の生活水準が上がった
これらのことから、国民の生活レベルが上がっていくことで、国の政治に変化がやってくるということですね。
ウルダハが共和政になるために必要なこと
フランス革命と決定的にウルダハが違うところが
国王自身が王政を終わらせ、共和政を望んでいることです。
そのため、ナナモ様は砂蠍衆を中心に議会の下地づくりを行っているのですが…
ここで大きな失敗があることを彼女はわかっていません。
砂蠍衆とはウルダハを実質支配しているメンバーで、金持ちの集団。
それは砂蠍衆では議会の代わりになれないということです。
なぜなら金持ちは既得権益を重視するため、保守的になりがちです。
到底国民に選挙権を与えるとは思えません。
「選挙権がほしければ金持ちになりたまえ」
これはフランス革命のきっかけともなったフランスの首相ギゾーの言葉です。
女王ナナモ様が国民からの信頼が高いため、砂蠍衆は自由にできないという現状を忘れてはいけません。
仮に砂蠍衆が政治を牛耳った場合は、国民の不満が爆発し、ウルダハで革命が起こることでしょう。
それはナナモ様が望んでいることではないと思います。
では彼女はどうすればよいのか?
実は現実世界で良い「実例」があるのです。
イギリスの立憲君主制
イギリスはフランスと違い、完全に共和政とならず「立憲君主制」となりました。
「立憲君主制」とは、憲法と議会が政治の中心であり、国王はあくまでも儀礼的な役割しかしない政治制度のこと
なぜイギリスはフランスと違い、完全に共和政にならなかったのでしょうか?
それは「議会の歴史」と「イギリス王室の歴史」とが背景にあります。
イギリス議会の成立
イギリスは13世紀、フランスとの度重なる戦争に敗け、国王は窮地に陥ります。そこで貴族たちは国王に
「勝手に課税とか戦争とかするんじゃない!」という国王の権利を制限する
1215年に国王にマグナ・カルタを認めさせます。
しかし、その後国王はすぐにマグナ・カルタを無視したため、シモン・ド・モンフォールという貴族が反乱を起こます。
そして彼は、貴族・聖職者・騎士が話し合う場所「シモン・ド・モンフォールの議会」を成立させていきます。
これがイギリス議会の源流となりました。
その議会は国王に認められ、やがて「模範議会」に名前が変わります。
しかし、その後議会は形骸化していくのです。
なぜなら、イギリス・フランスとの間で起きた「百年戦争」やイスラムとの戦いである「十字軍」により、国王の権力が増大していくからです。
なぜ戦争により国王の権力が増大するかは、こちらの記事にまとまっています。
「権利章典」で再び国王の権利を制限
議会が形骸化したからと言って、イギリス議会は無くなったわけではありません。
転機は1688年にやってきます。それは、国王に対して、議会が一致団結して国王を追放する決断を下した「名誉革命」です。
名誉革命の前におきた1641年の「清教徒革命」では国王が処刑されているので、このときの国王は議会の決断に従い、国外へ退去します。
しかし、ここからがイギリスの不思議なところ。
イギリスは追放した国王の娘と、その夫を国王として即位させます。
そして国王の権利を制限する「権利章典」にサインをさせるのです。
なぜわざわざ国王を追放したのに、なぜ新しい国王を即位させるのか?
それは「イギリス王室の歴史」がポイントになってきます。
再び国王を即位させた「イギリス王室の歴史」
イギリス王室の歴史は11世紀からスタートしています。日本で言うと平安時代くらいから長く続く王室なのです。
そのため、数多くの伝統・権威を持っているのがイギリス王室なのです。
では、革命をして国王を追放したのに何故再び新しい国王を即位させたのか?
それは国王がいる方が国が安定するからです。
先程も述べた通り、イギリス王室は長い歴史を持つため、国王を追放することで
「なんで?どうして?」
と国民が不安に陥る可能性あるためです。また国王追放に反対する貴族勢力もいたことは想像にがたくありません。
実は、これと全く同じ事例が日本で起きています。
それは第二次世界大戦後の天皇の処遇です。
GHQのマッカーサーは天皇制を廃止すると、デメリットの方が大きいと判断しました。
天皇を残し、象徴とすることで日本の統治をやりやすくしたのです。
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イギリスが立憲君主制になれた理由
権利章典が認められた後、イギリス王室は断絶し、遠縁のドイツ王室より新しい国王を迎え入れていきます。現在のイギリス王朝であるウィンザー朝の成立です。
しかし、この新しくイギリスに来た新しい国王はある1つの弱点があったのです。
ドイツよりきたこの新しい国王はなんと英語がわかりません。
そのため、即位後はイギリスで過ごす機会がほとんどなく、その間に議会が政治を行うのが通例になっていくのです。
そして「国王は君臨すれども統治せず」という言葉が生まれ、イギリスでは立憲君主制が確立していきます。
国王が英語をしゃべれなかったのはラッキーなのか?
はたまた議会の策略かどうかはわかりませんが、こうしてイギリスでは議会政治が中心になっていったのです。
ウルダハが目指すべき政治体制
以上のことから、1つ気がつくことがありませんか?それは
ウルダハは共和政よりも立憲君主制が向いている
ということを。
国王へ信頼が厚く、国王自身が共和政への移行を望んでいる。
まさしく「国王は君臨すれども統治せず」をナナモ様は行いますよね。
では具体的にどうすればナナモ様は良いのでしょうか?
もう答えは出ています。
- 仮議会(グランドカンパニーや砂蠍衆の代表など)を作り、内閣制度をつくる
- 憲法を制定し国民へ公布する
- 選挙を行い、国民の代表者を決定する
1・2は実現できても、3が難しいかもしれません。
先程も述べた通り、国民の生活水準が上がらないと選挙で考えて投票するまでには至らないのです。
そのため国民の生活レベルが低いままでは「衆愚政治」になりかねません。
「衆愚政治」とは字のごとく、自覚のない無知な民衆が選んだ政治家による、愚かな政治のこと。今の日本がまさにその状況。
国民が愚か、すなわち国民がアホであればあるほど国は傾きます。
実際に第二次世界大戦後のチリでは、選挙によって社会主義政権が誕生し、国民の生活が困窮したという事実があります。
勉強して投票することの重要性がよく分かります。
砂蠍衆の一部は、国民の生活水準上げたり、難民問題を解決するために活動していることはサブクエストで見て取れるので、期待はできそうです。
ただ、彼は自分の利益のためという見方もできますが…
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/playguide/db/quest/5cc52395ca0/
まだまだウルダハの政治改革は道のりが険しそうです。
これに光の戦士ことプレイヤーが今後どのように関わっていくか、ぜひシナリオに期待しつつ
本日の記事を締めたいと思います。
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